| 今後時間管理の監督指導にはこの基準に基づいてされることになるため良く理解し適正な労働時間管理を行なうようご留意ください。 最近不況の煽りから労働時間管理が不適正な運用がされ、労働時間の把握の曖昧さから休日出勤手当・時間外手当等の労使紛争が多発していることから、平成12年11月に中央労働審議会の建議を受け、厚生労働省は4月6日「労働時間の適正な把握の為に使用者が講ずべき措置に関する基準」(基発339号)を発表しました。その要点は下記のようなもので事業主にその遵守を求めています。
 
 
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記 |  
| 適用の範囲 | 労働基準法の労働時間に係る規定が適用されるすべての事業所。 |  
| 対象者 | 管理監督者およびみなし労働時間制が適用される労働者を除くすべての者。 |  
 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置
 
 
 
| 使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。 |  
 
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(2) | 始業・終業時刻の確認および記録の原則的な方法 |  
| ア | 使用者が自ら現認することにより確認し、記録すること。 |  
| イ | タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録する    こと。 (必要に応じ、使用者の残業命令書、これに対する報告書など使用者が労働者の労働時間を算出するために有している記録と突き合わすことで確認し記録するものであること。)
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(3) | 自己申告制により、始業・終業時刻の確認および記録を行なう場合の措置 |  
| ア | 自己申告制を導入する前に、その対象ととなる労働者に対して、労働時間を正しく記録し、適正に自己申告を行なうことについて十分な説明を行なうこと。 |  
| イ | 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること。 |  
| ウ | 労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間の上限を設定するなどの措置を講じないこと。また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因になっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。 |  
 
| 労働時間の記録に関する書類について、労働基準法第109条に基づき、3年保存すること。 |  
 
| 労務管理を行なう部署の責任者は、当該事業所内における労働時間の適正な把握 等労働時間管理の適正化に関する事項を管理し、労働時間管理上の問題点の把握 およびその解消を図ること。 |  
 
| (6) | 労働時間短縮推進委員会等の労使協議組織を活用し労働時間管理の問題点およびその解消策等の検討を行なうこと。 |  
  以上が今回の通達の内容ですが、従来ともすると出勤・退勤の事実の記録であるべきタイムカードが労働時間を表示するように使われていることがあり、今回の通達によっても客観的な記録の基礎とされています。時間外労働は、使用者が命じてさせることを一貫して社内規則とし、必ず残業命令書又は、残業報告書を整備しタイムカードの記録とは別に労働時間の算出の基準とすることが必要です。  平成11年大阪地裁の判決においても「タイムカードの出退勤時刻が実労働時間と認められるかは、会社の実態としてタイムカードで従業員の労働時間管理をしているか否かで判断する。タイムカードに記載された出退勤時刻と就業の始期終期との間に齟齬があることが証明されない限り、タイムカードに記載された出退勤時刻をもって実労働時間と認定すべきである。」 とされており 会社として十分留意して残業命令書、残業報告書の完全実施等により残業の短縮を図り、ゆとりある生活の向上に努めましょう。
 
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