法改正情報(事務所通信)

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15年・6月号 社会保険・労働保険の資格取得手続について

社会保険・労働保険の資格取得手続について

最近経営収支の悪化から社員の採用時の社会保険・労働保険の資格取得手続が正確に
されていないため、従業員、行政とトラブルが多発しています。最小限下記に順じて
資格取得を行うようお勧めします

労働保険

 1.労災保険

 労働保険の成立届を出し労働保険番号を取得している事業所(事業所毎)で賃金を支払われる者はすべて労災保険の給付の対象者となります。たとえ1時間のみの臨時で 雇用した者も。今日採用を決定し明日初出勤の途上怪我をした場合も通勤労災の適用者となります。従って、労働保険料の確定申告の賃金総額にこれらのパート時給すべてと交通費を含め 申告をします。

 2.雇用保険

雇用保険の適用事業所に雇用される者は原則採用日から被保険者となります。
ただし、
 ・1週間の労働時間が20時間未満の者は加入できません。
 ・1週間の労働時間が20時間以上30時間未満の者は短時間労働被保険者 となります。なお、上記のうち1年以上の雇用が見込まれない者(雇用契約期間が1年 未満の者)は加入 できません。ただしこの者が1年を超えて雇用が継続される場合、或は1年未満の有期契約 であっても雇入れの目的、その者と同様の契約で雇用されている他の労働者の状況から見て、 契約を1年以上にわたって反復更新をすると見込まれる場合は、短時間被保険者に該当されます。私の担当する東京都社会保険労務士会の総合労働相談室でも従業員退職時での失業給付 でこの種の紛争が多く見られます。

社会保険

 1. 健康保険・厚生年金保険

社会保険の適用事業所に雇用される者は原則被保険者と なります。また、臨時的雇用者であっても
 イ. 日々雇い入れられる者で1月を超えて使用されるにいたった者。 および
 ロ. 2ヶ月以内の期間を定めて雇用される者(在学中のアルバイトを含む)で所定の期間を引き続き使用される者も被保険者となります。


 2.被保険者とされない者

適用事業所に採用される者でその事業所の所定労働時間の おおむね4分の3未満の者は被保険者とされません。通常の事業所の所定労働時間は法定労働時間の週40時間1日8時間の範囲で定められています。
 これに準じて、社会保険事務所での指導の目処は1日6時間未満1月15日以下であることとしています。
 最近事業所で新採用の者を勤務の継続が安定するまで社会保険の資格取得を遅らせるところが見られます。上記の(ロ)の2ヶ月以内の適用除外を誤認しているためです。この場合社会保険事務所の行う調査では、賃金台帳、出勤簿、社会保険の資格適用年月日を照合 します。それの不一致が指摘された場合には、入社日に遡って資格適用が要請されます。もし、どうしても採用日の資格取得をずらせたいときは、必ず2ヶ月以内の期間を定めた雇用契約書を作成することが必要です。その場合に契約期間満了後から資格適用となります。この場合でも雇用条件の変更、例えば時給から月給等の変更等が無ければ採用時期に遡って資格適用を要請
されます。

以上最近の事例から新採用の従業員の労働保険、社会保険の適用につき解説しました。上記に あわせ資格取得手続を適法に行い個別労使紛争、行政指導の要件とならぬようご注意ください。


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