今回の改正は労働時間の改正が主体となっています。改正は下記の3点でその内容の概要をご紹介します。
- 労働基準法第36条で定める協定の限度時間を超える労働に対し2割5分を上回る割増率を決める労使協定とするように努力義務が課せられます。
この改正は限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率であるため、「1か月45時間」を超える場合についてとどまらず、週を単位として限度時間を協定している場合は「1週間15時間」を超える場合、年を単位として「1年360時間」を超える場合も同様となります。
- 1カ月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率は、5割増とする。
引き上げ分2割5分相当の割増賃金の支払いに代えて有給の休暇(代替休暇)付与も可能とされます。ただし、下記の中小企業は3年間の適用が猶予されます。
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資本の額又は出資の総額 |
常時使用する労働者数 |
小売業 |
5000万円以下 |
50人以下 |
サービス業 |
5000万円以下 |
100人以下 |
卸売業 |
1億円以下 |
100人以下 |
その他 |
3億円以下 |
300人以下 |
- 年次有給休暇のうち5日を上限とする時間単位の取得を可能とします。
今回の改正により時間外労働に対する割増率は下記のようになります。
1か月45時間までの時間外労働の割増率 |
2割5分 |
(法的義務) |
限度時間を超え1か月60時間までの時間外労働の割増率 |
2割5分以上 |
(努力義務) |
法定休日労働 |
3割5分 |
(法的義務) |
1か月60時間を超える時間外 |
5割 |
(法的義務) |
今回の改正で企業が注意する事項
- 就業規則の改定
限度時間を超える時間外労働に割増賃金の引上げ努力義務に対応する規定と率の決定。
60時間を超える時間外労働割増率の変更により、時間外労働、休日労働、割増賃金の計算等の規定の見直し。
- 労使協定の締結
60時間を超える時間外割増賃金に代る休暇制度導入のための労使協定の検討。
年次有給休暇の枠内で年5日を上限とする時間単位の年次有給休暇の導入のための労使協定の検討
以上改正労基法について概略を解説しました。詳細についてご質問があればなんなりと当オフィスオオツジまでお寄せ下さい。
また、平成22年4月までに就業規則、賃金規程の改定、労使協定の締結が必要となる企業様でご要望あれば改訂等の手続をお受けいたします。詳細ご相談ください。
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