法改正情報(事務所通信)

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定年制による離職の取扱いにつきご注意

 平成18年4月1日から施行された高齢法により60歳定年制を採用する企業において従業員が希望する場合厚生年金給付年齢まで再雇用することが義務付けられました。
 継続雇用についての原則は継続雇用を希望する者全員を対象としますが、従業員を代表する労働組合または従業員の過半数を代表とする者との書面協定により、「継続雇用制度対象となる高年齢者に係る基準」を定め、その基準に基づく制度を導入すれば、継続雇用制度の導入措置を講じたものとされます。(高年齢法第9条2項)
 基準の内容は@働く意思・意欲 A勤務態度 B健康 C能力・経験 D技術伝承
等が挙げられ、事業主が恣意的に特定の対象者を排除しようとするもの、公序良俗に反するものは認められません。労働者自ら基準に適合するか否かを予め予見することができ、労働者に基準に到達するための能力開発を促すような具体性が求められます。 この協定の締結は従業員を雇用する事業所のすべてに要請され、現実に60歳に達する労働者が生じない場合でも制度の導入措置を講ずることが必要とされます。
 再雇用後の労働条件は、再雇用される職種・雇用条件等を予め提示するか、または、個別に職種、勤務形態、賃金等を明示することとします。
 上記協定は従業員300人以下の中小企業に対しては労使協定に代え経過措置として平成23年3月末日までは就業規則による基準の設定が認められていました。今回上記の暫定期日が迫ったことで下記のような通達が発せられました。


  1. 平成23年4月1日以降上記労使協定が締結されていない事業所は、事業主の常時雇用者数にかかわりなく
    高年齢者雇用確保措置が実施されていないものと取り扱う。
  2. 上記事業所を定年制により離職した場合には、離職者の継続雇用の希望の有無にかかわらず、離職証明書の離職理由は、「喪失区分3」「離職区分1A」(事業主都合による解雇)として取り扱うこととなる 

企業としての注意事項

  1. 上記の通達により労使協定が締結されないまま離職した場合、雇用保険上解雇とされます。中小企業の大部分は継続雇用制度の基準の労使協定が未締結の企業です。この場合事業主都合の離職になり、現在各種助成金制度を活用されていると、当該助成金が支給されない場合があります。 充分にご注意ください。
  2. 労使協定は、労働条件その他の事項について、事業場の過半数の労働者で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)と事業主との間で合意して書面により締結される協定です。
  3. 上記による基準を労使協定で定めた場合、就業規則の絶対的必要記載事項である「退職に関する事項」に該当するため、労使協定による基準を策定した旨を就業規則に定め、就業規則の変更を管轄の労働基準監督署に届けることが必要です。
     基準を定めた労使協定そのものは届け出る必要はありません。

 労使協定で定める基準等の策定および就業規則の改定手続きについて、私ども社会保険労務士法人オフィスオオツジは、ご相談および労使協定の作成、就業規則の改定手続き等のご依頼等お受けいたします。お気軽にご連絡ください。


以上


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