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2011年4月 2日

天災時の賃金の支払い、年休の振替について

 

天災時の賃金の支払い、年休の振替について
 今回の震災にあたり、事業主より賃金の支払い、年次有給休暇等の付与につき問い合わせが多くなりました。これについて下記のようにお答えしています。
[賃金の支払い]
1.    今回の震災により工場、事業場等が破壊され業務不能となった。また、交通手段が途絶し出勤不能となった。
2.    前記のように使用者、従業員双方ともの責任のない事由で労務の提供及び受領ができない場合の扱いについて労働基準法は特に規定はありません。
3.    民法第536条第1項「当事者双方ノセメニ帰スベカラサル事由ニ因リテ債務ヲ履行スルコト能ハサルニ至リタルトキハ債務者(労働者)ハ反対給付(賃金)ヲ受クル権利ヲ有セス」と規定しています。
4.    このような場合労働者は賃金請求権はなく、使用者は賃金を支払う必要はありません。ただし、就業規則、労働契約等においてこのような場合も賃金を支払う規定があれば賃金を支払はなければなりません。
5.    ただし、大半の労働者が出勤可能であり、操業も可能であるにもかかわらず、従業員を休業させた場合、労働基準法第26条により、出勤可能であり就労の意思を持つ労働者に対しては、休業手当を支払わなければなりません。
6.    今回の計画停電により操業不能の場合は賃金の支払い義務は免除される通達が発せられましたが、計画停電以外の時間を休業する場合は、その時間について事業主の責によるとして休業手当の支給対象となります。
 
[年休の振替]
1.    年次有給休暇の取得は労働者の取得時期の指定により行使するものであり、使用者の判断により休業日と年休とを振り替えることはできません。
2.    休業日のように労働者の労働の義務がない日については年次有給休暇の発生する余地はなく、休業当日を年休に振り替える申し出があっても使用者はこれに応じる義務ありません。ただし、労働者が休業当日の賃金を確保するため、労働者の意思によりの申し出があった場合年休に振り替えることは違法とはなりません。
 
(以上労政時報を参考資料)

投稿者 otuji : 2011年4月 2日 | トラックバック (0)