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2010年8月 7日

最近の労働判例から(労働経済判例速報2069号)

 
定期昇給を停止したことは相当ではないとして、会社に対し昇給分の支払いを命じた事件
従業員が会社から給与の昇給及び一時金支給の停止措置は不当であると訴えた件
(1) 昇給規定「事業の情勢によって昇給を停止することがある。」とさているが、同規程は昇給が毎年当然に時視される規定となっている。
(2) 昇給の停止により従業員が被る経済的不利益は大きい。
(3) 事業の情勢によって昇給を停止するとの規定の適用は、会社の裁量によるものとするのは相当でない。
 1.昇給停止の必要性の内容、程度
 2.昇給停止の内容、昇給停止により従業員が被る不利益の程度
 3.労働組合との交渉経過
  等を考慮して決めるのが相当である。
会社の業績の落ち込み等から人件費を抑制する必要があったと認めることはできるが、会社の資産状況は極めて優良。
定期昇給により派生する支出もそれほど多額の支出にはならないと推認されること。原告組合に対して真摯に定期昇給停止の必要性について説明したとまで認めることはできない。
 最近の不況下定期昇給を停止する措置を行う企業も多く、たとえ賃金規程に定期昇給の停止条項が規定されていても、手続きが相当でなければ定期昇給停止が否認される恐れがあり慎重に行う必要があります。
 

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2008年5月26日

退職願

最近就職の氷河期を脱し雇用が流動化してきました。従業員から突然退職願いが提出されその対応に会社と従業員との間でトラブルが多発してきました。通常就業規則には「退職しようとするときは退職希望日の30日前までに退職願いを提出すること。ただし退職願提出後14日を経過した場合は退職の自由が認められる。」とされていることが多い。

民法627条(期間の定めない雇用の解約)「当事者はいつでも解約の申し出が出来る、 (ただし解雇については労基法による解雇予告規程があることに注意)この場合解約は2週間を持って有効となる。」又月給制の場合は期間の前半に申し出の場合は期間の終了をもって、後半の申し出の場合は翌期の終了を持って効果が生ずる(最短半月最長1月半)となっていることが根拠となっている。

使用者は従業員に対し円満な退社を促すために常に会社事情を説明し1月以上前の退職の申し出を会社慣習とする必要がありましょう。

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2008年5月20日

名ばかり管理者の健康管理

昨日名ばかり管理者の支援団体の会合の状況がテレビで放映されました。これをみて私の思いを若干記載します。

1.外食産業を中心とする店長の地位について。 現在の労働基準法の管理単位は事業場単位であることとすれば、店長は事業場の長となり監督者とみなされても致し方ない。

2.各種情報によれば店長はやっとフリーターから社員に採用され地位を得たため、会社の意に反した場合いすぐに交替を命じられまたもとのフリーターに戻される恐れがある。そのため日夜を問わず勤務を続ける。そのため過重労働により心身症になることが多く報道されている。

3.私ども社会保険労務士として、これらにどのような対応をすればよいか

1)店長を監督者と認めざるを得ないとすれば時間外手当を支払わないため、待遇(月額賃金、ボーナス)を残業手当等を支給される一般従業員にくらべ優位に設定する。これが不満解消の第一

2)3月より施行された労働契約法に使用者の安全配慮義務が定められている。上記2.に記載のとおり店長の過重労働をどのように防ぐことが出来るか

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2008年4月26日

事業場外みなし時間労働

営業担当者等の外勤者に対する事業場外労働に対する労使協定についての質問がありました。

労働基準法38条の2の規定に準拠するもので協定に下記のように定める事を薦めました。

(対象者の範囲)

営業部に属する従業員で内勤事務担当者を除き主として事業場外で業務に従事する者

(みなし労働時間)

対象従業員が、通常、勤務時間の全部又は一部を事業場外において業務に従事し、、勤務時間を算定しがたい日について、休憩時間を除いて所定労働時間労働したものとみなす。上記みなし時間には当日の報告書の作成、集金の計算、受注書の作成等を含むものとする。

(営業手当)

事業場外みなし時間労働対象者には、時間外勤務手当に代えて賃金規程に定める営業手当を支給する。

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2008年4月 5日

管理監督者の範囲

過日マクロナルドの店長の管理監督者の適用についての裁判結果から管理監督者の範囲についての論議が活発化してきました。これに対応し厚生労働省から全国都道府県労働局長あてに基監発第0401001号として4月1日通達が出ました。

要旨は、基準法第41条第2号に規定する「監督者若しくは管理の地位にある者」とは、労働条件の最低基準である労働時間、休憩及び休日の規定の適用が除外された者であること。

適用範囲 部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者  労働時間、休憩及び休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請される。従って重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も労働時間の規制に馴染まない。 (このため長時間労働が要請され、過労による様々な事故が発生されています。(筆者意見))

管理監督者の範囲については資格、職位の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務態様に着目、賃金等の待遇面に留意し総合的に判断すること。

特に労働時間等が適切に管理されず、割増賃金の支払や過重労働による健康障害等に関し不適切な事案がみられる。

「管理職」が直ちに基準法上の「管理監督者」に該当しないことを説明し管理監督者の適正化について遺憾ないよう記されたい。

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2008年4月 4日

年俸制と時間外手当

企業の経営者の中には「年俸制をとっている社員は時間外手当は支払わなくともよい。」という誤認をされている方がいます。

年俸制は賃金の決定、支払方法の一つであり、労基法のどこを探しても時間外手当の除外規定はありません。年俸制を対象従業員の能力成果を評価しそれに相当する一年間の賃金を定めることは職能給の誤った導入により右肩上がりの人件費の抑制のため、場合によっては成果の状況によっては賃金の減額も出来るとして一般従業員にまで導入する会社も出てきました。

年俸制は基準法の第41条2号に該当する管理監督者に対応することは可能ですが、時間外手当の支払が必要な従業員(管理者を含む)にまで広げることには賛成できません。もし、そこまで対象を広げるならばその決定した年俸額の中には一月何時間分の時間外手当相当分を含むことことを明記し時間外の管理をし、その時間をオーバーするときは給与の追加払いが必要です。この明記がなければ、年俸額全額を時間外算定基礎額と算定され、時間外割増賃金を上乗せ支払することを要請されます。注意が必要です。

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2007年9月18日

編集を業とする会社の就業規則

編集を業とする小規模会社の就業規則についての就業規則作成の相談があった。現在従業員6人程度の会社。従来就業時間、賃金の取り決め(月給、10締め、月末支払、フレックスタイム制のみの取り決め。

今後事業の拡大に伴い就業規則の策定の必要を感じ始めた。労働時間の決め方等受容課題が多々ある。如何したらよいかの相談

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2006年4月21日

夜勤あけの明休について

今日このような問い合わせがありました。

当社は夜間勤務制度があります。就業規則には「終夜勤務した場合翌日は明休として就業を免除する。ただし、この日の賃金は無給とする。」とありますこの取り扱いにつき質問がありました。

回答
1日の勤務は当日の始業時間から翌日の始業時間までが1日の勤務であり。その間に1時間以上の休憩を与えた場合は、翌日の勤務は通常の勤務となります。ただしこの就業規則は本人の健康管理より翌日の就業を免除するとしています。(当然の出勤日に働かなくとも良いと免除しただけです。したがって本来明休の日も賃金は発生しますが就業規則に明休の日は無給とすると定めてあれば、無給とすることはなんら差し支えありません。ただし、休日の前日の夜間勤務については、下記の注意が必要です。
通常の就労日と異なり休日の1日は午前零時より始まります。従って前日の勤務は、前日の24時で終了し休日の勤務が0時から始まり(休日出勤の扱い深夜手当ての対象ともなります。)その勤務が終わった時点で休日出勤が終了し休日出勤手当ての対象となり、それ以後は休日扱いとなります。

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2006年2月12日

保存有給休暇

最近年次有給休暇についての相談が増えてきました。なかでも有給休暇の時効の取り扱い。休暇の買取の可否。一斉付与。時期変更権等多くの問題が含まれています。高齢法による60歳定年じの残存有給休暇の扱いについても質問が多くなってきました。
これらにご意見あれば、ご質問あれば何なりとコメントをください。

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