2010年8月 7日

最近の労働判例から(労働経済判例速報2069号)

 
定期昇給を停止したことは相当ではないとして、会社に対し昇給分の支払いを命じた事件
従業員が会社から給与の昇給及び一時金支給の停止措置は不当であると訴えた件
(1) 昇給規定「事業の情勢によって昇給を停止することがある。」とさているが、同規程は昇給が毎年当然に時視される規定となっている。
(2) 昇給の停止により従業員が被る経済的不利益は大きい。
(3) 事業の情勢によって昇給を停止するとの規定の適用は、会社の裁量によるものとするのは相当でない。
 1.昇給停止の必要性の内容、程度
 2.昇給停止の内容、昇給停止により従業員が被る不利益の程度
 3.労働組合との交渉経過
  等を考慮して決めるのが相当である。
会社の業績の落ち込み等から人件費を抑制する必要があったと認めることはできるが、会社の資産状況は極めて優良。
定期昇給により派生する支出もそれほど多額の支出にはならないと推認されること。原告組合に対して真摯に定期昇給停止の必要性について説明したとまで認めることはできない。
 最近の不況下定期昇給を停止する措置を行う企業も多く、たとえ賃金規程に定期昇給の停止条項が規定されていても、手続きが相当でなければ定期昇給停止が否認される恐れがあり慎重に行う必要があります。
 

投稿者 otuji : 2010年8月 7日 | トラックバック (0)

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