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2015年8月28日

無期労働契約転換制度について

 

 平成24810日労働契約法の一部を改正する法律が公布あれ2541日より施行されました。

これにつき下記にその概略を説明します。

 

1.転換後の無期労働者の労働条件

 無期契約の労働条件は、別段の定めがない限り直前の有期労働条件と同一となります。雇用期間の定めが有期から無期になるだけで、職務、勤務、賃金、労働時間等は原則同一となります。無期契約労働者が即正社員となることではありません。

2.上記1の別段の定めとは

 労働契約、就業規則、個々の労働契約(無期転換の場合労働条件を変更することに労働者と使用者との間で個々の合意があること。)が該当します。

 例えば、有期労働契約で次の契約更新時に、所定労働日や始業終業時刻、賃金等の変更が定期的な変更が行われていた場合に、無期転換後もそれまでと同様に定期的に労働条件の変更を行うことが出来る定めを行うことをいいます。

3.有期契約労働者・無期契約労働の労働条件

 ただし、上記2による労働条件の変更につき注意することは、労働契約法第20(期間の定めあることによる不合理な労働条件の禁止)条項があることです。

 「期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して不合理と認められるものであってはならない

 以上転換後の労働条件の変更にも留意してください。(無期契約になったことによる有期契約と異なる労働条件)

4.無期転換の申込み

 平成2541日以後に開始し、更新を行い2回以上の有期労働契約の通算契約期間が5年を超える時点で労働者に申込権が発生します。

 労働者は5年を超えて発生した契約期間の初日から末日までの間に申込みをします。(この期間に申し込をしなかった場合には、次期期間内に申込みが出来ます。)労働者が申込みをした場合、使用者はその意思にかかわらず承諾したものとみなされ、その時点で無期雇用契約が成立します。

5.無期雇用契約と有期雇用契約の解約(解雇)

 無期雇用契約の解消は解雇となります。この場合解雇の法理が適用され、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合」には解雇権の濫用が適用されます。また、有期雇用契約の解(解雇)は労働契約法第17条1項で「やむを得ない事情」が無ければ解雇は出来ず無期雇用契約より

 解雇は至難となります。

6.有期雇用特別措置法の適用

  無期労働契約転換制度には有期雇用特別措置法が定められ、転換の対象外とする特別措置が定められています。

 ?特例の対象者

?)「5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務」に就く高度専門的知識等を有する有期雇用労働者

?) 定年後に有期契約で継続雇用される高齢者は、その継続され雇用される期間は無期雇用転換申込権は発生しません。但し通算契約期間が5年を超えれば、原則通り申込権が発生します。

 

  以上無期労働契約転換制度について概略説明しましたが制度につきご質問等あれば当法人までお寄せください

 

  

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無期労働契約転換制度について

 平成24年改正労働者派遣法成立時の付帯決議【附帯決議】(24.3.27厚生労働委員会議決)

   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

   「労働契約申込みみなし制度の創設に当たり、派遣労働者の就業機会が縮小することのないよう、周知と

   意見聴取を徹底するよう努めること。」

 

    上記改正法は平成27年10月1日から施行することとされ、同法第40条の6で「労働契約申し込み 

   みなし制度」について定めています。この制度について平成27710日に職業安定局長から通達が発

   せられました。以下その概略を説明します。

 

1.制度の趣旨

      善意無過失の場合を除き、労働者派遣を受ける者が派遣労働者に対して、労働契約の申込みをしたものと

  みなす制度です。「善意無過失の場合を除き、違法派遣をうけいれた者にも責任があり、そのような者に民

  事的な制裁を科すことにより、派遣法の実効性を確保する。」為としています。

 

2.違法行為の類型

 ? 派遣労働者を禁止業務に従事させること

 ? 無許可事業主又は無届出事業主から労働者派遣の役務の提供を受けること

 ? 期間制限に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること

 ? 労働者派遣法又は労働者派遣法の規定により適用される労働基準法等(以下「労働者派遣法等」という。)

  の規定の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、必要とされる事項を定め

  ずに労働者派遣の役務の提供をうけること(以下「いわゆる偽装請負等」という。)

 

3.違法行為の「いわゆる偽装請負等」

   派遣労働者を禁止業務に従事させること、無許可事業主又は無届出事業主から労働者派遣の役務の提供を受けること及び期間制限に違反して労働者派遣の役務の提供をうけることという他の3つ類型と異なり、労働者派遣法等の適用を免れる目的(以下「偽装請負等の目的」という。)で、請負契約等を締結し、当該請負事業主が雇用する労働者に労働者派遣と同様に指揮命令を行うこと等によって、偽装請負の状態となった時点で労働契約の申込みをしたものとみなされるものをいいます。

  派遣先等に「偽装請負等の目的」が無く、その後受けている役務の提供がいわゆる偽装請負等に該当するとの認識が派遣先等に生じた場合は、その認識した時点が開始時点より後であればその日の翌就業日以降初めて指揮命令を行う等により改めて「偽装請負等の状態となった」と認められ、この時点で労働契約の申込みをしたものとみなされます。

 

4.労働契約の成立の時点

 

    ? 労働契約が成立する時点 見做し制度に基づく申込みについて、派遣労働者が承諾の意思表示をした時点 

  となります。

 ? 派遣労働者が承諾できる申込み 最初の申込みに限りません。

 ? 承諾をしないことの意思表示 見做し制度は派遣先等に対する制裁であることから、違法行為の前から予め派遣労働者が「承諾をしない」ことを意思表示した場合であっても、その意思表示の合意については公序良俗に反し、無効と解釈されます。

 

以下省略

 

 

 

  以上労働契約みなし制度について解説しました。なお、改正法施行日時点で違法行為が行われている場合、

 経過措置が設けられていないため、適用される違法行為が行われている場合は、派遣先等は、その時点で労働契約の申込みをしたものとみなされますので注意してください。

投稿者 otuji : 2015年8月28日 | トラックバック (0)

労働契約申し込みみなし制度について

平成24年改正労働者派遣法成立時の付帯決議【附帯決議】(24.3.27厚生労働委員会議決)

「政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 『「労働契約申込みみなし制度の創設に当たり、派遣労働者の就業機会が縮小することのないよう、周知と意見聴取を 徹底するよう努めること。』」
 
 上記改正法は平成27年10月1日から施行することとされ、同法第40条の6で「労働契約申し込みみなし制度」  について定めています。
 この制度について平成27年7月10日に職業安定局長から通達が発せられました。以下その概略を説明します。
 
1.制度の趣旨
    善意無過失の場合を除き、労働者派遣を受ける者が派遣労働者に対して、労働契約の申込みをしたものとみなす制度です。
    「善意無過失の場合を除き、違法派遣をうけいれた者にも責任があり、そのような者に民事的な制裁を科すことにより、  派遣法の実効性を確保する。」ためとしています。
 
2.違法行為の類型
 ? 派遣労働者を禁止業務に従事させること
 ? 無許可事業主又は無届出事業主から労働者派遣の役務の提供を受けること
 ? 期間制限に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること
 ? 労働者派遣法又は労働者派遣法の規定により適用される労働基準法等(以下「労働者派遣法等」という。)の規定の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、必要とされる事項を定めずに労働者派遣の役務の提供をうけること(以下「いわゆる偽装請負等」という。)
 
3.違法行為の「いわゆる偽装請負等」
  派遣労働者を禁止業務に従事させること、無許可事業主又は無届出事業主から労働者派遣の役務の提供を受けること及び期間制限に違反して労働者派遣の役務の提供をうけることという他の3つ類型と異なり、労働者派遣法等の適用を免れる目的(以下「偽装請負等の目的」という。)で、請負契約等を締結し、当該請負事業主が雇用する労働者に労働者派遣と同様に指揮命令を行うこと等によって、偽装請負の状態となった時点で労働契約の申込みをしたものとみなされるものをいいます。
  派遣先等に「偽装請負等の目的」が無く、その後受けている役務の提供がいわゆる偽装請負等に該当するとの認識が派遣先等に生じた場合は、その認識した時点が開始時点より後であればその日の翌就業日以降初めて指揮命令を行う等により改めて「偽装請負等の状態となった」と認められ、この時点で労働契約の申込みをしたものとみなされます。
 
4.労働契約の成立の時点
  ? 労働契約が成立する時点 見做し制度に基づく申込みについて、派遣労働者が承諾の意思表示をした時点となります。
 ? 派遣労働者が承諾できる申込み 最初の申込みに限りません。
 ? 承諾をしないことの意思表示 見做し制度は派遣先等に対する制裁であることから、違法行為の前から予め派遣労働者が「承諾をしない」ことを意思表示した場合であっても、その意思表示の合意については公序良俗に反し、無効と解釈されます。
 
以下省略
 
  以上労働契約みなし制度について解説しました。なお、改正法施行日時点で違法行為が行われている場合、経過措置が設けられていないため、適用される違法行為が行われている場合は、派遣先等は、その時点で労働契約の申込みをしたものとみなされますので注意してください。
 
  制度導入に関し、社内規定の見直し、従業員等に対する説明ご要望あれば是法人までご連絡ください。
 
 

投稿者 otuji : 2015年8月28日 | トラックバック (0)

2012年8月 4日

改正労働契約法が国会通過

議案要旨
(厚生労働委員会)
労働契約法の一部を改正する法律案(閣法第七一号)(衆議院送付)要旨
 本法律案は、有期労働契約について、その締結及び更新が適正に行われるようにするため、有期労働契約が一定の要件を満たす場合に、労働者の申込みにより無期労働契約に転換させる仕組みを設ける等の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 有期労働契約の無期労働契約への転換
1 有期労働契約が通算五年を超えて反復更新された場合、労働者が無期労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は、別段の定めがない限り従前と同一の労働条件で、当該申込みを承諾したものとみなす。
2 有期労働契約の契約期間が満了した日とその次の有期労働契約の契約期間の初日との間に空白期間が六月以上あるとき等は、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は通算しない。
二 有期労働契約の更新等
有期労働契約の反復更新により、当該有期労働契約を更新しないことが無期労働契約を締結している労働者を解雇することと社会通念上同視できると認められる等の有期労働契約であって、労働者が更新等の申込みをした場合には、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。
三 期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止
有期労働契約を締結している労働者の労働条件が、期間の定めがあることにより、同一の使用者と無期労働契約を締結している労働者の労働条件と相違する場合においては、当該相違は、職務の内容、配置等の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。
四 施行期日
この法律は、公布の日から施行する。ただし、一、三及び五は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
 

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2010年8月21日

有期雇用労働者に対する契約解消

 

有期雇用者に対する労働契約の解消について
 
 最近の労使の紛争で目につくのは雇用期間途中での労働契約解消問題です。
特に労働契約法施行後第17条の期間途中解雇の禁止についての理解不足です。
そのため           ?勧奨による退職を促す。            ?未経過期間の休業措置           ?解雇予告手当と休業手当           ?雇用期間満了時の雇止め
また、期間の定めない雇用者(正社員)に対する退職勧奨、被契約解消者からの解雇扱いの要求(解雇に対する補償要求)
 パート労働法、労働契約法に対する理解と扱いは益々複雑になりました。留意しましょう。

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2009年1月 9日

派遣労働者の途中解雇

派遣労働者の途中解雇について

衆議院予算会議に派遣切りについて討論がされているが国会議員が自ら作った派遣法、雇用契約法等労働諸法令について理解していない。すべて行政の作った法律を内容理解しないままで多数賛成で制定したことが明らかである。

私ども社労士が苦労して労働契約法を周知徹底をする努力しているのに、法条の有期労働契約者の期間内解雇は 「やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が終了するまでの間において、労働者を解雇することはできない」 の法違反が見られる。契約法は民事法のため行政からの強制力はないのでそれぞれの違反の訴えがなければ司法は動かないのか。 空しい気がする。

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2008年9月22日

有期雇用契約の解約

本年3月1日より施行された労働契約法で実務者として最も注意したいことは、第17条「期間の定めある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」と定められていること。
これは、民法628条を受けたものですが、従来期間雇用の場合労気基法20条の解雇予告手続を取れば問題はあまり問われていなかったことを明確にしたもの。
これによって今後期間雇用の残存期間の保障についての争いが多発することが予想される。
理論的には、解雇予告手当1月分とそれを上回る残存期間の事業主の責による休業補償60%の補償は必要と思います。監督署は100%の補償を求めると思います。
それならばとして期間雇用の期間を短くすることを防ぐことから、第2項で「必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないように配慮しなければならない。」としています。
また、有期労働契約締結および雇止めに関する基準で労働契約が3回以上更新されている場合も雇止めの対象とされたことに注意したい

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2007年9月13日

労働3法はどうなるのか

年金問題で明け暮れした国会も突然の解散

労働行政で前国会から積み残された労働契約方、労働基準法の時間法制の改革、最低賃金法の改正。いずれも現役労働者にとり重要な問題今後どのように展開していくか、関心を持って見守ることが必要。

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2006年4月13日

労働契約法の内容

労働契約法の主要内容  (食品工場長2005.11号寄稿)

先に労働契約法の概要に付いて報告しましたが。その内容に付き労務管理上特筆する箇所を摘出して解説します。
今回の法制化は、雇用形態の多様化により労働契約をめぐる使用者と労働者の労働契約上の権利義務を明確にする目的で制定が進められています。その中で特に注目される要綱として、以下のものがあげられます
具体的項目

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