2006年4月13日

労働契約法の内容

労働契約法の主要内容  (食品工場長2005.11号寄稿)

先に労働契約法の概要に付いて報告しましたが。その内容に付き労務管理上特筆する箇所を摘出して解説します。
今回の法制化は、雇用形態の多様化により労働契約をめぐる使用者と労働者の労働契約上の権利義務を明確にする目的で制定が進められています。その中で特に注目される要綱として、以下のものがあげられます
具体的項目

労働関係の成立
・ 採用内定者の取り消しはその事由を採用内定書面にて通知されている場合のみ有効
・ 試用期間の上限を設定
 労働関係の展開
・ 就業規則による労働条件の変更は合理的のものであれば労働者を拘束することが出来る。
・ 労働契約の変更について労働者はその雇用関係を維持しつつその合理性を争うことが可能「雇用継続型契約変更制度」導入
・ 出向を命ずるには個別合意、就業規則・労働協約に根拠が必要
・ 当事者間に別段の合意が無い限り、出向中の賃金は、出向直前の賃金水準を、出向元・出向先が連帯して出向者に支払う義務がある。
・ 配置転換は雇用関係における使用者の経営上の必要性に基づく対応と人事権と権利濫用に対する調整。
・ 転籍に当たっては、転籍先の情報、転籍先での労働条件当を書面で労働者に説明同意を得なければならない。書面説明が無い、点隻語説明と事実が異なる場合転籍無効。
・ 懲戒解雇、停職、減給の懲戒処分に当たっては、懲戒処分の内容、非遺行為、懲戒事由等を書面で労働者に通知すること。非遺行為と懲戒の内容との均衡が必要であること。
・ 労働者の兼業を制限する就業規則の規定等はやむを得ない事由がある場合を除き無効とする。

・ 退職後の競業避止義務や秘密保持義務を労働者に負わせる個別の合意等は、労働者の当該義務違反によって使用者の正当な利益が侵害されること等を要件とする。
・ 安全配慮義務や労働者の個人情報保護義務を明らかにする。
・ 留学・研修費用の返還の免除条件としての勤務期間の上限5年。
労働関係の終了
・ 解雇は、労働者側に原因がある理由、企業の経営上の必要性またはユニオン・ショップ協定等の労働協約の定めによるもので無ければならない。
・ 解雇が無効とされた場合でも、職場における信頼関係の喪失等によって職場復帰が困難な場合があることから、解雇の金銭解決制度の導入に着いて検討・解雇の紛争の一回解決、安易な解雇を防止する仕組み。
・ 労働者が使用者の働きかけに応じて退職の意思表示を行った場合、一定期間これを撤回することが出来る。
有期労働協約
・ 有期労働協約締結時に契約期間が書面で明示されなかった場合は、期間の定めの無い契約とみなす。
・ 「有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準」で定める手続を必要とし、更新がありうる旨が明示されていた場合、差別的な雇い止めや労働者が正当な権利を行使したことを理由とする雇い止めは出来ない。
・ 有期労働契約が試用の目的を有する場合にはその旨及び本採用の判断基準を明示させ、試用目的の有期労働契約の法律上の位置付けをめいかくにする。
労働基準法の見直し
労働契約に関するルールの明確化。民事的効力を有する規定を労働契約法に移す。
・ 契約期間の上限規制の趣旨が労働者の退職制限の防止に限られることをめいかくかする。
・ 採用内定期間中は解雇予告制度の適用を除外
・ 複数の事業場で働く場合の労働時間の通算規定を見直す。
・ 労働条件の明示事項や就業規則の記載事項及び作成手続を見直す。

投稿者 otuji : 2006年4月13日 | トラックバック (0)

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