2006年4月20日

通勤労災の適用が拡大されました

 

改正労災保険法の解説
通勤労災の適用が拡大されました
【月間食品工場長6月掲載
 
最近の従業員は就労が多様化され、従来副業(兼業)を禁止していた企業も禁止解除をしたり、またワークシュアリングの導入等により短時間勤務の採用のため、複数事業所への就業者が増加してきました。また単身赴任者が増加し、単身赴任先の住居と家族の居住する留守宅との移動が頻繁になりました。これらの場合に労災保険法の通勤の定義「労働者が、就業に関し、 住居と就業の場所との間を合理的な経路及び方法による往復することをいい、業務の性質を有するものを除く」が適合されず労災保険の給付を受けることが出来ないことが多発してきました。今回これを救済するために労災保険法が改正されました。
1.複数就業者の事業場間の移動に通勤労災適用
 最初の勤務を終業後、別の会社で勤務する場合(複数就業者)が最初の業務から次の勤務場所に直接移動する途上で起こった災害は、「就業の場所と就業の場所との間の災害であり、住居と就業の場所との間の移動でないため、通勤災害の対象となりませんでした。 今回の改正で複数就業者の事業場間の移動について通勤労災の対象に改められました。
改正労災保険法では
第七条             この法律による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。
 †省略
†労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(以下「通勤災害」という。 )に関する保険給付
†省略
.前項第二号の通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、 合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。
†住居と就業の場所との間の往復
厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
*厚生労働省令で定める就業の場所とは
†労災保険の適用事業所・労災保険暫定任意適用事業に係る就業の場所
†特別加入者に係る就業の場所
†その他††に類する就業の場所
 なお、会社間移動の災害の場合の労災保険は、次の会社への移動が就労のための行為であるため移動先の労災保険関係で処理され、移動先の賃金額により給付額が決定されます。
2.単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居間の移動に通勤労災適用
従来、単身赴任者が赴任先勤務場所から直接家族の住居に帰省、または、帰省先から直接赴任先勤務場所に出社するときは、住居と就業の場所との往復行為として通勤労災の対象とされていましたが、単身赴任先の住居と留守宅との往復は認められていませんでした。この度の改正でこの移動中の災害についても業務との関連性があるとして認められるようになりました。ただし厚生労働省令で定める下記の要件に適合する必要があります。
単身赴任要件 †同居していた配偶者†同居していた子(高校生以下)†同居していた要介護状態にある親族、等とやむ得ない事情により別居している単身赴任労働者であること。
就業に関する移動 †赴任先住居から帰省先住居への移動。
原則勤務日当日又はその翌日に行われる移動で就業との関連性が認められること。
†帰省先住居から赴任先住居への移動。
原則勤務日当日又はその前日に行われる移動で就業との関連性が認められること。
以上今回の労災保険法の改正は、近時の社会の仕組みの移り変わりから就業状態の複線化、多様化等による労働者の労働に関連する災害からの保護に適応するためにとられたものであります。各企業の労務担当者の理解と運用を望みます。     以上
 

投稿者 otuji : 2006年4月20日 | トラックバック (0)

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