2007年2月20日

改正雇用保険法(案)

雇用保険法が一部改正され平成19年4月1日及び10月1日から施行されます。法律案の概要を解説します。(*)は10月から
1.基本手当の受給資格要件の改正
 †被保険者資格区分の改正【雇用保険法第13条及び14条等関係】
*被保険者資格及び受給資格要件の一本化
従来雇用保険の被保険者を週の所定労働時間が30時間以上の一般被保険者と高年齢継続被保険者と短時間労働被保険者(週所定労働時間20†30時間)の被保険者に分けていましたが、その区分をなくし、被保険者資格と受給資格要件を一般被保険者として一本化されます。
*†基本手当の受給資格要件の改正【雇用保険法第13条関係】
・離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること。
 従来基本手当の受給資格は、被保険者が失業した場合、離職の日以前1年間に6ヵ月(短時間被保険者は2年間に12ヶ月)以上あることとされていましたが、今回の改正で離職の日以前2年間に被保険者期間が通算し12ヶ月以上あることに改められる。
離職が解雇・倒産等に伴うものである者として厚生労働省令で定める理由により離職した者(特定受給資格者)ついては、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヵ月以上であれば受給資格を取得できるものとします。
†被保険者機関の計算方法の変更【雇用保険法第14条第1項関係】
 従来被保険者期間について従来1ヶ月間に賃金の支払の基礎とな
る日が14日以上あることとしていたが、今回の改正で11日以上
である期間を1ヶ月として計算することになります。
*2.特例一時金の改正【雇用保険法第40条第1項及び付則第7条関係】
季節的に雇用される者、同一の事業主に引続き被保険者として雇用される期間が1年未満である短期の雇用に就くことを常態とする短期雇用特例被保険者に給付される特例一時金の基本手当日額50日分から30日分に減額(当分の間40日分)
3.教育訓練給付の改正
†返還命令の対象の追加【雇用保険法第10条の4第2項関係】
従来偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者に対して偽りの届出、報告又は証明等をしたためその失業給付が支給されたものであるとき、その事業主又は職業紹介事業者等に対して、その失業給付を受けた者と連帯して受給額の返還又は納付を命じられた金額の納付をしなければとされています。
今回これに加え、偽りの証明をした指定教育訓練実施者(厚生労働大臣が指定する教育訓練を行う者をいいます。)を加えることにしました。
†報告徴収の対象に追加【雇用保険法第76条第2項関係】
 今回の改正により指定教育訓練実施者を報告徴収の対象に加えられます。
*†支給要件期間の暫定措置【雇用保険法付則第8条関係】
 当分の間、教育訓練給付金の支給を受けたことが無い者に限り、教育訓練を開始した日までの間に被保険者として雇用される期間が1年以上あれば、教育訓練給付金の支給を受けることができることになりました。
*4.育児休業給付の改正
†育児休業基本給付金の支給を受けた期間と基本手当に係る算定基礎期間の算定の調整【雇用保険法第61条の4第6項関係】
 育児休業基本給付金の支給を受けた期間について、基本手当の所定給付日数にかかる算定基礎期間(被保険者として雇用された期間)の算定から除く。
†育児休業者職場復帰給付金の額の暫定措置【雇用保険法付則第9条関係】
育児休業給付制度の拡充
従来、育児休業給付金は休業前の賃金の40%(休業期間中30%・職場復帰から6ヵ月後10%)の給付をしています。今回の改正により平成22年3月31日までは暫定的に50%(休業期間中30%・職場復帰6ヵ月後20%)の額が給付されます。
5.雇用安定事業等の改正
†雇用安定事業等の対象の明確化【雇用保険法第62条第1項関係】
 雇用安定事業及び能力開発事業の対象として、被保険者になろうとする者を既定します。
†雇用福祉事業を廃止すること【雇用保険法第64条等関係】
 雇用保険三事業のうち、雇用福祉事業を廃止します
雇用福祉事業には (†)労働者の就職、雇入れ、配置等についての相談を行うこと、相談援助のための施設設定と運用 (†)求職者の就職のための資金の貸付、身元保証その他必要な援助 (†)就業に対する適用制その他職業の安定に関する調査、研究及び資料の整備
等を行っていましたがこの事業を廃止します。
6.国庫負担の改正
†高年齢雇用継続給付に係る国庫負担の廃止【雇用保険法第66条第1項関係】
 高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金に要する費用に係る国庫負担は、平成19年度から廃止されます。
従来求職者給付に要する費用の4分の1(日雇い労働者については3分の1)の負担をしていましたがこれを廃止します。
†国庫負担に関する暫定措置
失業給付に要する費用に係る国庫負担額については、平成19年以降当分の間国庫が負担すべきとされている額の100分の55に相当する額となります(25%→13.75%に引き下げられます)
7.保険料率の見直し
失業給付の弾力料率を±0.2から±0.4%に拡大平成19年度からの料率1000分の16から1000分の12に雇用安定事業の料率を1000分の3.5から1000分の3に引き下げられます。
 

投稿者 otuji : 2007年2月20日 | トラックバック (0)

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