2006年9月 1日

事業者による過重労働とメンタルヘルス対策

 

事業者による加重労働とメンタルヘルス対策
(改正安全衛生法の施行による)
 従来安全衛生法では事業者は1年以内毎に1回従業員の定期健康診断を行うことが義務付けられています。(1年以上継続して雇用されることが予定される週30時間以上のパートタイマーを含む)又健康診断の結果、異常所見者の措置について医師等の意見を聴き、従業員の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮その他適切な措置をとるほか、診断結果を従業員に通知することが定められています。今回の法改正により過重労働とメンタルヘルス対策が取り入れられました。以下解説します。

 

1. 長時間労働者への医師による面接指導の実施
 対象 全ての事業場の事業者は、従業員が週40時間を越える労働が1ヶ月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるときは、従業員の申出を受けて、医師による面接指導を受けさせなければなりません。この100時間以上に該当するか否かの算定は、毎月一回以上、基準日を定めて行う必要があります。その上、事業者は、面接指導を受けた労働者の健康を保持するために必要な措置について医師の意見を聴取しなければなりません。
 次に、事業者は医師の診断を勘案して、必要があると認めるときは、その従業員の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じるほか、医師の意見を衛生委員会へ報告しその適切な措置を講じなければなりません。
2.事業者の従業員に対する健康配慮義務(努力義務)
 前項に該当しない従業員に対しても事業者に一定の面接指導等の健康配慮措置を義務付けています。
     長時間の労働(週40時間を越える労働が1月80時間を超えた場合)により疲労の蓄積が認められ、又健康上の不安を有している労働者本人が面接指導を申し出る場合に実施。
     事業場で定める基準に該当する従業員
  〈基準例〉
(1)  40時間を超える労働が1月当たり100時間を超えた従業員及び26ヶ月間の平均で1月当たり80時間を超えた従業員全てに面接指導を実施する。
(2)  40時間を超える労働が1月当たり80時間を超えた全ての従業員に面接指導を実施する。
(3)  40時間を超える労働者が1月当たり45時間を超えた従業員で産業医が必要であると認めた者には、 面接指導を実施する。
(4)  40時間を超える労働が1月当たり45時間を超えた従業員に係る作業環境、 労働時間当の情報を産業医に提出し、事業者が産業医から助言指導を受ける。
3. 守秘義務
 上記意思の面接指導の実施事務に従事した者は実施に関して知り得た従業員の秘密を漏らしてはならない。
4. 従業員の健康診断受診義務
 最近従業員の謝ったプライバシー保護観念から事業所の行う法定健康診断を拒否することが散見されます。事業所は安全衛生法で定められた健康診断を実施する義務があり、従業員はこれに応ずる義務があります。 (罰則はありません。 )これを打開するために通常就業規則、 健康管理規定等で規定し受診義務を負わせることが必要です。 これにより受診を拒否した従業員を懲戒処分して争われた最高裁判例で事業者側が勝訴した判例があります。
 また、従業員が脳・心臓疾患で死亡等した場合にその事後家族から健康診断を受診させなかったとして、事業者の安全配慮義務違反と訴えられることを防ぐために、定期健診未受診者の家族あて、「従業員○○は今回の会社実施の定期健康診断を受診していません。 ○月0日までに会社指定の産業医(最寄医師)の健康診断を受診し、 会社担当者にその結果を報告願います。等の通知を発することも対策となります。
 以上記載の通り近頃「脳・心臓疾患の認定基準」「精神障害等に関する業務上外の判断指針」による従業員の安全衛生法に関わる労災補償の争いが多発してきました。事業所の労務担当者は、従業員の健康管理に充分に配慮をされたい。          以上

投稿者 otuji : 2006年9月 1日 | トラックバック (0)

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