2007年11月12日

パート労働法の留意点

改正パートタイム労働法の留意点

今国会で成立し来年(平成20年)4月より施行されるパート労働法の留意点について解説します。

1.(労働条件に関する文書の交付等)
第6条
  1.事業主は、短時間労働者を雇入れたときは、速やかに、当該短時間労働者に対して、労働条件に関する事項のうち労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものであって厚生労働省令で定めるもの、(次項において「特定事項」という。)を文書の交付その他厚生労働省令で定める方法(次項において「文書の交付等」という。)により明示しなければならない。

(1)労働基準法上の明示事項(労働基準法第15条1項)
  †労働契約の期間
  †就業の場所、従事すべき業務
  †始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休 暇、労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換
  †賃金((2)の†のものを除く)の決定、計算、支払の方法、賃金の締め切り・支払の時期に関する事項
  †退職(解雇の事由を含む)に関する事項
(2)パートタイム労働法上の明示事項(短時間労働者の雇用管理の改善等に関す る法律第6条)
  事業主は、パートタイム労働者を雇入れたときは、速やかに「昇給の有無」、「退  職手当の有無」、「賞与の有無」を文書の交付等により明示しなければならない。
  なお、パートタイム労働者が希望した場合は電子メールやFAXでも可能
【違反した場合】
第47条
  1.第6条第1項の規程に違反した者は、10万円以下の過料に処する。

事業主は、上記3項目以外の下記事項についても、雇入通知書に含めて交付するか就業規則に含まれている場合は就業規則の写しを交付する。なお、パートタイム労働者が希望した場合は電子メールやFAXでも可能

†昇給
†退職手当、臨時に支払われる賃金、賞与、1か月を超える期間の出勤成績によっ て支給される精勤手当、1か月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤続手当、1か月を超える期間にわたる事由によって算定される奨励加給・能率手当
†所定労働日以外の日の労働の有無
†所定労働時間を超えて、または所定労働日以外の日に労働させる程度
†安全衛生
†教育訓練
 

†休職
第16条
  1.厚生労働大臣は、短時間労働者の雇用管理の改善等を図るため、必要があると認めるときは、事業主に対して報告を求め、または助言、指導若しくは勧告をすることが出来る。

2.(通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止)
第8条
  1.事業主は、業務の内容および当該業務に伴う責任の程度が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者であって、当該事業主と期間の定めない労働契約を締結しているもののうち、当該事務所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更と同一の範囲で変更されると見込まれるもの(以下「通常の労働者と同視すべき短時間労働者という。」について短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない。
  2.前項の期間の定めない労働契約には、反復して更新されることによって期間の定めない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる期間の定めある労働契約を含むものとする。

【通常の労働者と同視されないためには】
1.有期雇用契約の確実な実施
第2項の該当者を雇止めするときは整理解雇の4要件の類推適用がされ、解雇権の濫用が問われるおそれがある。

  有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準
【対象となる有期労働契約】
(1)1年以下の契約期間の労働契約が更新又は、反復更新され、最初に労働契約を締結してから継続して通算1年を超えるばあい。
(2)1年を超える契約期間を締結している場合
【雇止めの予告】
  使用者は、契約締結時に、その契約を更新する旨明示していた有期労働契約 (締結している労働者を1年以上継続して雇用している場合に限る) を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない
【契約締結時の明示事項】
1.更新の有無の明示
明示すべき「更新の有無」の具体例
   自動的に更新する
   更新する場合があり得る
   契約の更新はしない
2.判断の基準の明示
明示すべき「判断基準の具体例
   契約期間満了時の業務量により判断する
   労働者の勤務成績、態度により判断する
   労働者の能力により判断する
   会社の経営状況により判断する
   従事する業務の進捗状況により判断する

2.フルタイムパートを通常労働者と職務の内容、配置の変更を区別するため、就業  規則、雇用条件通知書等に「時間外休日労働を命じない、転勤等の配置の変更をしない」等を明記し区別する。
3.更新手続を期間満了前に面談し、明確に厳格な手続をし期間の定めある雇用者として明確にすること。
総務省で統計等でパートタイマーとするのは、週35時間以下の労働時間としています。出来れば勤務時間を通常の労働者との勤務時間を短くすること
4.契約の更新は必ず期間満了の日の30日以上前に確実に次期の更新手続を完了することを励行し、期間雇用労働者であることを確実に行い労働条件の明示書も第2項の記述のように正規雇用と区別した条件で契約すること

【違反した場合】
第16条適用

(報告の徴収ならびに助言、指導及び勧告)
第16条 厚生労働大臣は、短時間労働者の雇用管理の改善等を図るために必要があると認めるときは、短時間労働者を雇用する事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導、若しくは勧告をすることが出来る。
2  前項に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で、定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することが出来る

不法行為として民法の損害賠償の対象とされる可能性がある。

3.(教育訓練)
第10条
  1.事業主は、通常の労働者に対して実施する教育訓練であって、当該通常の労働者が従事する職務内容の遂行に必要な能力を付与するためのものについては、職務内容同一短時間労働者が既に当該職務に必要な能力を有している場合その他の厚生労働省令で定める場合を除き、職務内容同一短時間労働者に対しても、これを実施しなければならない。

【違反した場合】
第16条適用

不法行為として民法の損害賠償の対象とされる可能性がある。

4.(福利厚生施設)
第11条
1.事業主は、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設であって、健康の保持または業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるものについては、その雇用する短時間労働者に対しても、利用の機会を与えるように配慮しなければならない。(配慮義務)

【違反した場合】
第16条適用

不法行為として民法の損害賠償の対象とされる可能性がある。

5.(通常の労働者への転換)
第12条
  1.事業主は、通中の労働者への転換を推進するため、その雇用する短時間労働者について、次の各号のいずれかの措置を講じなければならない。
†.通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等により、そのものが従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集にかかる事項を当該事業所において雇用する短間労働者に周知すること。
†.通常の労働者の配置を新たに行う場合において、当該配置の希望を申し出る機会を当該配置に係る事業所において雇用する短時間労働者に対して与えること。
†.一定の資格を有する短時間労働者を対象とする通常の労働者への転換のための試験制度を設けることその他の通常の労働者への転換を推進するための措置を講じること。


6.(待遇の決定に当たって考慮した事項の説明)
第13条
  1.事業主は、その雇用する短時間労働者から求めがあったときは、第6条から第11条及び前条第1項の規定により講ずべきこととされている事項に関する決定にあった手考慮した事項について、当該短時間労働者に説明しなければならない。
【違反した場合】
第16条適用

不法行為として民法の損害賠償の対象とされる可能性がある。

7.(紛争の解決の援助)
第21条
  1.都道府県労働局長による助言、指導又は勧告する

第22条
  1.紛争調整委員会による調停

投稿者 otuji : 2007年11月12日 | トラックバック (0)

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