2008年9月18日

管理監督者の範囲

 マクロナルドの店長の管理監督者の範囲についての裁判判決は企業の労務管理にセンセーションを起こした。当ブログでもこれを取り上げましたが、今回厚労省労働基準局長名で「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」とする通達が出ました。

ファーストフードの店長を対象とするものですが、中小企業の管理者の判断基準の参考となります。ただし、この通達の骨子は先の判決の域から脱しておらず「これだ!」というものではありませんでした。

判断要素

1.職務内容、責任と権限 (1)採用 店舗に所属するアルバイト・パート等の採用、人選権限を持っているか。 

(2)解雇 上記アルバイト・パート解雇権を持っているか

(3)人事考課 対象となる部下の人事考課に関与する権限があるか

(4)労働時間の管理 店舗における勤務割り表作成、時間外労働の命令を行う責任と権限を持っているか

2.勤務態様にあたり (1)遅刻早退等の減給、人事考課の不利益評価を受けていないか

(2)労働時間に関する裁量 自分の労働時間に対する裁量を持っているか

(3)部下の勤務態様との相違があること

(2)(3)について実際に店長自ら実施できるか疑問を持つ。

3.「賃金等の待遇」 (1)基本給、役職手当等の優遇措置 実際の労働時間数を勘案し割増賃金との比較で下回れば管理監督者を否定

(2)支払われる賃金の総額 当該企業の一般労働者の賃金総額と同程度以下でないこと。

(3)時間単価 長時間労働の時間単価が店舗に所属するアルバイト・パート等の賃金額以上であること

以上を検討すれば至極当然な事項でありこれにより店長の待遇、労働時間による過労が防げるか疑問。何れにせよマクロナルドの上告審の結果が待たれる。

投稿者 otuji : 2008年9月18日 | トラックバック (0)

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